「病気」の呪縛 (このテクストは当初、「〈女〉を巡って」および「真夜中のトランス」の前座的ポジションとして、トランス問題についてかなり茶化した調子で語るために用意されたものです。相当バイアスのかかった内容で、ほぼMtFのみを話題にしており、また筆者の主眼自体上のテクストにあったのですが、一つのものの見方として試みに公開してみるものです。なお、筆者は現在の性同一性「障害」治療を全面的に是としているわけではありませんが、これを否定したり先人の労苦を軽んじようとする意図はまったくなく、実際個人的には多いにお世話になっていることを明記しておきます) ## 「病気」から「生き方」へ、という視点の理解のために、同性愛と精神疾患の関係について寄り道してみます。 冒頭で性同一性障害、つまり「病気としてのトランス」を理解するのにICD-10を参照しましたが、ここではアメリカ精神医学会APAが発行している精神