レディ・カーロッタは街道沿いの小さな駅に降り立って、なんの変哲もないホームを行ったり来たりしながら、汽車が機嫌を直して動き出すまでの暇つぶしをしていた。すると、向こうの街道で、馬が相当量を遙かに超えた、山のような積荷を相手に格闘しているではないか。御者は、と見ると、日々のたつきの手助けをしてくれている生き物に、憎悪を抱く手合いのようである。レディ・カーロッタは即座に街道へおもむくと、格闘の形勢を一変させた。 知人のなかには、虐待された動物になりかわって口出しするなんてとんでもない、と口うるさくお説教を始める輩もいる。「あなたには何の関係もないないんですからね」というわけである。確かに一度だけは、レディ・カーロッタも言われたとおりの不干渉主義を実践した。それは不干渉主義者のなかでもひときわ雄弁な人物が、イノシシに追いかけられて、とげだらけのサンザシの小さな繁みに三時間近く籠城する羽目になった