三菱重工業がかつて「MRJ」(三菱リージョナルジェット)と呼ばれていた国産初の小型ジェット旅客機「スペースジェット」からの撤退を表明した。2008年に事業化を決めてから何度も納入を延期。コロナ禍に入って開発が事実上、止まっていたが事業化のメドが立たなくなった。 この原因を多くのメディアが「型式証明の取得に手間取った」などと説明しているが、それは川下の話でしかない。 日本の主力産業といえば自動車だ。完成車メーカーのみならず、さまざまな部材がかかわる裾野の広い一大産業であり、雇用面などで日本を支えている。一方、新興国メーカーの台頭や部品点数が少ない、あるいは従来の自動車とは異なる部分も少なくないEV(電気自動車)の普及などによって、日本の自動車産業がネガティブな影響を受けてしまう恐れがある。 航空産業は自動車産業よりも、さらに精度や信頼性が高い部材が必要となり、途上国からの追い上げは自動車産業