ある意味では理不尽な「罪と罰」の話だったように思います。真に悪いものが罰せられるわけでなく、罪を後悔したものが、分かりやすく救われるわけでもなく……。 宮部さんの小説は分かりやすい勧善懲悪で終わらないものも多いけど、その中でもこの『英雄の書』が一番、「この小説は何だったのか」と考えさせられているかもしれない。 兄を救うため無名の地から現実世界へ戻った友理子は、兄がなぜ英雄に憑かれたかを知る。額に印を授けられ、新たにオルキャストのユーリと名前を冠した友理子は無名僧のソラ、魔法でネズミに変身した赤い本のアジュ、そして、英雄に憑かれたものを追うアッシュと共に、再び異世界へと旅立つが…… 異世界の描写はまさに王道のファンタジーという感じ。魔法でよみがえった死者の兵士たちの話や、化け物の描写などところどころで、上巻からも感じられたダークな雰囲気を話にまといつつ物語は一歩、一歩核心へ向かっていきます。
宮部みゆきのファンタジー。 8年前に買ってずっと熟成させて…いや、寝かして…あの、積んであったものにようやく手を付けることができました。 PlayStation Portableのロールプレイングゲームの原作にもなっている「ブレイブ・ストーリー」は読んだことがあります(ゲームも遊びました)し、自分から申し入れて「ICO」のノベライズをしていることも知っています(ゲームは遊びました)し、もちろん「ゲーム女」としてゲームにのめりこんでいることも知っています。 だから、この「ファンタジー」もそんな、RPGをよく遊ぶ自分にとってなじみやすい物だろうなあと思いつつ読み始めたのですが…。 様相は一言では言い表せないほど変わっていました。 幻想的な異世界の描写に続いて、小学校5年生の森崎友理子が授業中に呼び出されるところから物語は始まります。学校でたまに見る「忌引き」が自分の身に起きたのか、でも誰が?と
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