音楽の反方法論序説 1 コンピュータのなかのアジア これは理論ではない。 いまやっていることに関わるいくつかの観察にすぎない。 この方向のしごとがやがて理論やシステムを形成するのか、ということも疑わしい。 むしろ、これは少しずつ変化しつづけるプロセスであり、 システムどころか方法にさえなり得ないものではないだろうか。 ともかく、いまやっていることは 作曲プログラムによってコンピュータがサンプラーをコントロールして音を出す という演奏のやりかたで、 一つのコンピュータと一つのサンプラーだけでできているから、 この種の演奏形態としては最小限のものと言えるだろう。 これだけでも音楽の演奏には充分ではあるが、 生楽器の演奏と組み合わせる方がおもしろいし、その場合は 近代楽器よりは伝統楽器との方がよい。 伝統楽器は固有の共振モードをもっていて、 音色にもとずくやりかたに適応しやすい。 近代楽器はピッ