編集長は32歳の青年だ。この若さで誰もが知っているヒット作を何本も送り出してきた「名編集者」にして「平凡すぎるのがコンプレックス」。 そしてそのコンプレックスこそが自分の武器だと言う。その男、柿内芳文に迫る。 ―そもそも、星海社というのはどんな会社なのですか? 柿内:2010年に、講談社の出資の下、若い世代で出版のこれからの可能性を広げていくために新しく立ち上げた会社です。 実は世間で言われている「出版不況」なんていうものはないと、ぼくは思っています。 今までが売れすぎていただけで、単純に正常値に戻ってきているだけだと。この20年で出版点数が2倍になっていて、単純に1点1点の部数が落ちてきているという側面もあります。 本当の問題点は、新しい可能性を模索するところを怠けていることにある。若い人の役割はそこじゃないですか。 やる気、若さ、エネルギーでチャレンジしていく流れさえあれば、出版