東京都国立市の元市長、上原公子(ひろこ)さん(67)が街の景観を守るために高層マンション建設を阻止した結果、市が業者に支払った賠償金三千万円を個人で負担することになった。市に賠償金の負担を求められた訴訟で、上原さんは最高裁に上告を退けられて敗訴が確定。今回の司法判断は、市民の支持を得て、政治理念に基づいて行動する自治体トップを萎縮させかねない。 (萩原誠、飯田孝幸、加藤健太) 敗訴が確定した上原さんは十五日、東京都立川市内で記者会見し、「市民自治を無視するもの。歴史に汚点を残す決定だ」と怒りをあらわに。マンションの高さを制限する条例制定などについて「法律は隙間や未整備があるから、住民に寄り添うため工夫しながら提案するのが首長、政治家の仕事」と主張した。会見に同席した窪田之喜(ゆきよし)弁護士は「景観保護を巡る市民と市、上原さんの営みを、憲法の地方自治の本旨、住民自治の観点から理解することを