ボーイ・ミーツ・ガール、少年のひと夏の恋物語――だと思っていたら、のけぞった。 サイエンス・フィクションを、ちょっとナナメに見ていた。SFなんて科学調味料で味付けしたファンタジーにすぎないから、ギミック取ったらただの冒険譚でしかないと思ってた。 つまり、宇宙人や未来人を持ってこなくてもそのテーマは書けるんじゃないの? そんな「設定」で紙数稼ぐの? その「設定」がないと語るに値しないの? とまで冷ややかに見ていたことがあった。 この物語は、そういう視線を粉々にしてくれる。これはSFでないと書けないし、その強烈な証拠をラストで明かすのは上手い/美味い。後半の急転直下は驚きの連続だし、最後の最後のドンデンは、一本背負いのように決まった。わざわざホーガンやクラークを持ってこなくても、SFってスゴいね、と実感できる。 わたしのように疑り深い読者向けなのか、出だしでこんな予防伏線を張っている。主人公ド