清岡智比古:今日は『灯台守の話』を盛り上げようということなんですけれども、お集まりのみなさんはきっと、岸本さんのファンの方が多いと思うんですね。翻訳のファンの方もいらっしゃいますし、エッセイのファンの方もいらっしゃるので、みなさんに、本では窺い知れない岸本さんの素顔を少し見ていただければよいなと思っております。 『灯台守の話』は今日買って読むのを楽しみにしている方もいらっしゃるはずなので、あまりネタバレ的なことを言ってもまずいと思いますので、作者であるジャネット・ウィンターソンという人の話をしながら、作品に繋げていきたいと思います。では、ジャネット・ウィンターソンについて、簡単にご紹介していただけますか。 岸本佐知子:『オレンジだけが果物じゃない』(国書刊行会)という私が翻訳した作品がありまして、これがかなり自伝的要素に忠実なお話なんです。イギリスの北の方の炭坑町で生まれ育った人なんですね