稲生平太郎+高橋洋『映画の生体解剖 ~恐怖と恍惚のシネマガイド~』(洋泉社)は、英文学者にして作家の稲生平太郎と、映画『リング』『女優霊』の脚本で知られる脚本家、高橋洋の映画に関する対談をまとめた本です。 映画ガイド本はあまたありますが、本書のような本は初めて読みました。本書のユニークな点は、まず映画が、監督やジャンルではなく、テーマ別に語られていること。そしてそのテーマの切り口が非常に独特なところです。 テーマの例をいくつか挙げると、「放電」「手術台」「水」「パラノイア感覚」「姉妹」「フィルムの中のフィルム」など。「パラノイア感覚」「姉妹」などはともかく、「放電」や「手術台」でテーマを立ててしまうところに驚かされます。 そして各テーマで取り上げられるのは、娯楽映画、ジャンル映画に限りません。また、欧米の作品だけでなく、邦画、インド映画など、国籍も多数。 著者二人とも、膨大な数の映画を鑑賞