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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/f-ryota (22)

  • 仮想算術の諸世界 - 仮想算術の世界

    「仮想算術」とは何なのかを時々ひとに聞かれる。これは僕の造語だが、ふつうは「仮想計算」というところだろう。そこをあえて「算術」といっているのは、算術arithmeticという言葉には、もともと「数え上げる知=技術(テクネー)」という古い意味があるからだ。したがって「仮想算術」というのは、平たく言えば“別の数え方”のことである。 たとえば、近代の国家があるタイプの「数え上げの技術」のうえに成り立っていることは明らかである。それは具体的には、統計調査(センサス)であり、世論調査であり、また投票システムである。イアン・ハッキングの言い方では、それは「偶然を飼い慣らす」ための諸々の装置だと表現される。ひとびとは、日常的にはさまざまな偶然や不確定性に満たされて存在しているようにみえる。しかし、ある仕方の「算術」のもとでは、その偶然性は偶然ではなくなり、たんに統計上の事実になる。むろん、その統計化に

  • 『最果てのイマ』試論(1) - 仮想算術の世界

    ずっとやりそびれていた『最果てのイマ』(Xuse)をようやくクリア。前々回のエントリーでは傑作と書きましたが、これはなんというか、「怪作」。 …というわけで、いくつか考察サイトを回ってみると、細かいつじつまをきちんと読み解いているサイトがけっこうあって驚く。正直いって、この作品の複雑に入り組んだ構造をぜんぶ脈絡をつけて理解できたわけではなかったので、確かにいろいろ参考にはなった。とはいえ質的な問題は、つじつまがあうか否かというよりも、作品全体が語りかけてくる「何か」なのであって、もちろん細かい詮索もあっていいが、それだけでは大樹を見失うおそれがある。確かに「謎解き」の欲望をかきたてる作品だし、あるいはよく言われるように田中ロミオ氏の文体も一級品だが、そこだけ見てわかった気になるのはつまらない。 もっともこの作品の真価は、ある意味では、「大樹」以上にむしろいわば「枝葉」の部分、つまりふ

    Lian
    Lian 2007/12/05