《愚者の後知恵》本稿は、2001年3月9日、10日の両日、フランスのユネスコ対応委員会の主催でパリで開催される「情報社会における言語の多様性(Language Diversity in Information Society)」と題されたコロキウムにおける発表の予稿である。このコロキウムには、東京大学の西垣通さんの紹介によって参加した。 本論では、情報技術分野における標準化活動、特に、私が係わってきた言語文化に依存する分野における、互換性を維持することと国際的な協力の重要性を、自らの経験に基づいて論じたい。 【汎アメリカ主義症候群】 最初は、自分のいくつかの体験から話を始めたい。 現在、私はISO/IECの文字コード標準を制定する委員会の活動に係わっている。そのきっかけになったのは、以前勤めていたソフトウエアヴェンダーが日本の企業としては、唯一かつ初めてのフルメンバーとして、ユニコー