陸上自衛隊「沿岸監視部隊」の配備が争点となった沖縄県与那国町長選で、部隊を誘致した現職の外間守吉氏が3選を果たした。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺など東シナ海で示威行動を拡大する中国をにらみ部隊配備は不可欠だが、配備に反対する相手候補との票差はわずか47票。国防という国政の最重要課題の成否が自治体の選挙で左右されかねなかったが、こうした脆(もろ)さは与那国だけの事例ではない。この1カ月、沖縄で体感した「民意」のありようをリポートする。 ■北部訓練場 「自分の目で見て、本当の住民の声をよく聞いてきてください」 7月9日、防衛省幹部に念押しされ、沖縄本島北部の東村に向かった。海兵隊のジャングル訓練で知られる米軍「北部訓練場」に近い高江という集落では、ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設をめぐり工事車両の通行を阻む激しい妨害行為が続いている。 生まれも育ちも高江の50歳代の男性がインタビューに応じ