日本の食生活に欠かせない刺し身(伊藤壽一郎撮影)日本の食生活に欠かせない刺し身は、食中毒を起こす寄生虫「アニサキス」を死滅させるためにいったん冷凍処理され、生魚の状態より味が落ちていることが多い。だが熊本大などの研究チームは、生のまま瞬間的な電気ショックを加えることで、身の品質を落とさず一気に寄生虫を退治する世界初の技術を開発した。寄生虫を心配せずに、生魚のおいしい刺し身を食べられる機会が増えそうだ。 胃腸の壁を食い破り激痛アニサキスは世界中の海に生息し、アジやサバ、サケ、イカなど魚介類の多くに寄生する線虫だ。長さ2~3センチ、幅1ミリ弱の半透明の白い糸状。動きは活発で、「アニー」などと呼んでペットとして愛玩するマニアもいる。だが人体に入ると胃腸の壁を食い破り、激しい腹痛を生じさせる食中毒「アニサキス症」を引き起こすことがある。