インドのマンモハン・シン首相は9月5日の晩、いても立ってもいられない気持ちだっただろう。首都ニューデリーから4800キロ以上離れたオーストリアのウィーンで、彼の政治家生命を左右するような会議が開かれていたからだ。 ウィーンには、45カ国が参加する原子力供給国グループ(NSG)の代表者が集合。核拡散防止条約(NPT)に加盟していないインドに対し、核燃料や原子力技術の輸出を「例外として」許すべきかという問題をめぐって議論を戦わせていた。 これが認められれば、インドは深刻なエネルギー不足を解消できるかもしれない。アメリカとの戦略的協力関係が深まり、国際社会での立場も高まる可能性がある。 アメリカとインドは05年に原子力協力協定について基本合意していたが、NSGが「例外扱い」を認めなければ、実現が困難になる。政治家生命をかけてアメリカとの協定合意にこぎつけたシンにとっても一大事だ。 ウィーンの会議