タグ

ブックマーク / newsweekjapan.jp (15)

  • ソフトウエアで走る車は信用できるか

    走るPC 最近の車はパソコンに匹敵するほど多様なプログラムを搭載している(2月10日、リコールされたプリウスにプログラムをインストールするナゴヤ・トヨペット店の整備士) Yuriko Nakao-Reuters リコール対象になったトヨタのプリウスをディーラーに持ち込むと、わずか30分ほどで修理が終わり、店を出ることになる。 リコールの原因はブレーキシステムにあるのだが、整備士の仕事はほとんどない。タイヤを外すことも、ボンネットの中を調べることもなく、ブレーキの周囲を触ることさえない。プリウスの欠陥は機械的なものではなく、プログラムの不備だからだ。 他のハイブリッドカーと同じく、プリウスは回生ブレーキシステムを採用している。ブレーキペダルを踏むと、車の運動エネルギーが電気エネルギーに変換されてバッテリーに回収され、再利用される仕組みだ。今回、2010年モデルの一部で見つかったのは、ブレーキ

  • OECDも批判した民主党政権のバラマキ少子化対策

    今月18日、OECD(経済協力開発機構)のアンヘル・グリア事務総長が都内で講演し、「日の政策目的を支援する」と題する提言を発表した。これは民主党政権が成立して以来、OECDが日政府に行なった初めての提言である。これまでもOECDは毎年、自民党政権に「対日審査報告」を出してきたが、政策にはほとんど反映されなかった。民主党政権は、このアドバイスをどう聞くのだろうか。 グリア氏は、まず次のように日の問題を定義する: 世界は、活力あるダイナミックな日を求めている。日が経済的な健康を取り戻すことは、日人だけでなく世界にとって重要だ。しかし日は急速な少子化という危機に直面している。今世紀なかばまでに日の人口は9500万人に減り、その40%が65歳以上になる。年金や医療の負担が日経済の最大の重しとなろう。 日の巨額の財政政策は政府債務を膨張させ、2011年までにGDP(国内総生産)の

    OECDも批判した民主党政権のバラマキ少子化対策
  • 概算要求の混乱にみる「国家戦略」なき鳩山政権

    霞ヶ関の年中行事の中で、もっとも重要なものの一つに「概算要求」がある。これは各省庁が次年度に要求したい予算を財務省に提出するもので、毎年8月31日が〆切で、その日に要求額や内訳が発表される。ところが今年は、8月の総選挙で民主党が政権をとったため、31日に出された概算要求は凍結され、10月15日に再度提出されることになった。民主党が「無駄だらけの予算をゼロベースで見直す」と主張したためだ。 その再提出の期限が15日に来たが、締め切っても総額がわからない。「90兆円台前半」という推定を出しているメディアもあるが、「前半」というのは90兆円から95兆円までというアバウトな話だ。しかも当初、国土交通省は今年度の当初予算に比べて「1630億円削減した」と発表していたが、夜になって前原国交相が記者会見を開いて「削減額を7600億円に増やした」と発表するなど混乱が続き、結局、発表は翌日に延期された。 こ

    概算要求の混乱にみる「国家戦略」なき鳩山政権
    MACKEY32
    MACKEY32 2009/10/17
    「「戦術の失敗は戦闘で補うことはできず、戦略の失敗は戦術で補うことはできない」」
  • JAL年金問題は日本経済の縮図

    JAL(日航空)の再建問題が、大詰めを迎えている。経営破綻の噂が出て、前原国土交通相は「政府が支援する」と約束し、再建策を検討するタスクフォースを結成した。しかし具体的にどのような形で支援するかは、何も決まっていない。 JALの経営に問題があることは、以前から指摘されてきた。国営時代の「親方日の丸」体質が抜けず、労働組合が8つもある。特に今回の経営危機で争点になっているのは、支給平均月額25万円という業界最高の企業年金だ(厚生年金とあわせると約40万円)。このためJALの年金・退職金債務は約8000億円にのぼるが、このうち約3300億円の積立が不足して巨額の赤字になっており、このままでは企業買収や追加融資による再建はむずかしい。 ところがOBの組織する「JAL企業年金の改定について考える会」は、年金支給額の減額に反対する署名をつのり、9月22日、前原国交相に対して「年金の減額を融資の条件

    JAL年金問題は日本経済の縮図
  • 温室効果ガス「25%削減」というポピュリズム

    民主党の鳩山由紀夫代表は今月7日、「温室効果ガスを2020年までに1990年比25%削減する」という目標を表明した。これは従来から民主党の掲げている方針だが、この目標には少なくとも三つの疑問がある。 第1に、当に地球温暖化が起こっているのか、そしてそれが人間活動によるものかどうかが疑わしい。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は地表の平均気温が2000~25年に10年あたり約0.2度のペースで上昇すると予測したが、実際には最近10年で約0.2度下がり、2008年は21世紀に入って最低だった。その原因として専門家が重視しているのは、海水温や太陽の黒点活動(日射量)の変化だ。長期的には温暖化が起こるとしても、その主要な原因が人間の排出するCO2かどうかは科学的な結論が出ていない。 第2に、IPCCの結論を認めるとしても、排出権取引は経済的に非効率であり、その削減目標にも科学的根拠がない。

    温室効果ガス「25%削減」というポピュリズム
  • 農業を保護して日本経済を滅ぼす民主党

    民主党の鳩山由紀夫代表は8月4日、衆院選のマニフェストに掲げた日米自由貿易協定(FTA)について、農業団体の反発に配慮して見直すことを表明し、菅直人代表代行も農産物をFTAから除外する方針を示した。農業保護を残したままではFTAの締結は不可能なので、「米国との間で自由貿易協定を締結し、貿易・投資の自由化を進める」と明記した民主党のマニフェストは修正される見通しだ。 これは民主党の政策の根幹にかかわる路線転換である。民主党が農業補助金を廃止して所得補償に切り替える政策を打ち出した背景には、農業保護によって農産物市場がゆがんでいる現状を打開する意味があった。現在は国内農家を保護するため輸入農産物に高率の関税をかけているが、これによって品価格が上がっている。FTAによって関税を下げて農産物の市場を開放する代わりに、輸入される農産物によって農家の所得が減った場合には、それを直接補償するというのが

    農業を保護して日本経済を滅ぼす民主党
  • 「民主党300議席」後の世界

    現有議席は自民党304、民主党112だから、自民党はほぼ半減、民主党は倍増以上という点では一致している。最小のAERAの予測でも民主党だけで単独過半数をクリアし、週刊現代の予測に至っては、参議院で否決されても再議決できる2/3を超える。いずれにしても前回の自民党圧勝とは逆の、民主党の地滑り的圧勝になることはほぼ確実だろう。 とすると気になるのは、圧勝後に何が起きるかということだ。16年前の政権交代のときは、自民党を離党して新党を結成したり野党に鞍替えしたりする議員が相次いだ。今回も自民党はすでに分裂含みなので、惨敗となれば反・麻生グループを中心に大量の離党が出る可能性が高い。 他方、民主党も潜在的な分裂を党内に抱えている。現在の執行部は小沢一郎代表代行のグループが押えており、新たに大量に当選すると予想される新人議員も「小沢チルドレン」の若手・女性議員が多いので、おそらく小沢氏の影響力は党内

    「民主党300議席」後の世界
  • 過剰な「安心・安全」は、かえって安全をそこなう

    25日の記者会見で、麻生首相は「安心社会」を政府のスローガンに掲げた。不況の中で、人々に不安が広がっており、政治がそれに対応するのも、ある意味では当然だろう。しかし「安心・安全」を理由にして政府が過剰に介入し、人々が保守的になると、不安はかえって悪化する可能性がある。 その一つが、6月1日から施行された薬事法の改正だ。安全性のために「対面販売」が原則とされたため、ネット販売サイトでは薬剤師がいても、ビタミン剤など「3類」の薬しか売ることができない。他方で、コンビニでは薬剤師がいなくても「登録販売者」がいれば風邪薬などの「2類」の薬も売ることができ、買いに来たのが人でなくても売ることができる。これでは「対面販売」の原則は破綻しているといわざるをえない。 「対面販売」が義務づけられているのは、薬だけではない。化粧品も「対面販売ができない」という理由で安売り店に出荷停止が行なわれたが、化粧品に

    過剰な「安心・安全」は、かえって安全をそこなう
  • 世界で最も危険な韓国人、潘基文

    歴史的にレベルの低い国連事務総長のなかでも際立って無能。核拡散の脅威や難民危機にも関心を示さない潘のおかげで、国連はあってもなくても関係ない存在に堕ちた 見た目にはきわめて重要なポストでありながら、歴代の国連事務総長はどちらかと言うと大した実績を上げてこなかった。 アメリカの国連大使だったダニエル・パトリック・モイニハンは、自身の回顧録「危険な場所」のなかで、70年代に事務総長を務めたオーストリア人のクルト・ワルトハイムをこう評している。彼は「郵便局」のようだった。「やや古臭いが、オーストリア・ハンガリー風にそこそこ効率的な経営がされていた。誰かと向き合うと、世間話をしながら心のなかでは郵便の仕分けをしているような男だ」 ブトロス・ブトロス・ガリ元事務総長はどうか。90年代のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争でセルビア人勢力が破壊の限りを尽くしているとき、彼は傲慢さと無責任さを発揮。クリントン米

  • アジアの巨象インドが沈む

    インドのマンモハン・シン首相は9月5日の晩、いても立ってもいられない気持ちだっただろう。首都ニューデリーから4800キロ以上離れたオーストリアのウィーンで、彼の政治家生命を左右するような会議が開かれていたからだ。 ウィーンには、45カ国が参加する原子力供給国グループ(NSG)の代表者が集合。核拡散防止条約(NPT)に加盟していないインドに対し、核燃料や原子力技術の輸出を「例外として」許すべきかという問題をめぐって議論を戦わせていた。 これが認められれば、インドは深刻なエネルギー不足を解消できるかもしれない。アメリカとの戦略的協力関係が深まり、国際社会での立場も高まる可能性がある。 アメリカとインドは05年に原子力協力協定について基合意していたが、NSGが「例外扱い」を認めなければ、実現が困難になる。政治家生命をかけてアメリカとの協定合意にこぎつけたシンにとっても一大事だ。 ウィーンの会議

  • iPodが戦争を変える

    話している人の両手を縛ることは舌を縛るのと同じだ──アラビア語にはそんな意味のことわざがある。イラクに駐留する欧米の兵士は、地元の人々と意思疎通を図る上で、ジェスチャーがいかに大切かを知っている。 例えば片手を握って開いて、また握ると「光」を意味する。しかし1回だけ開くと「爆弾」だ。最近イラクから帰還したある兵士は、イラク人男性を腹ばいにさせるために、自ら地面に寝そべって実演しなければならなかった。 これまでの米軍なら、戦場用に開発した高価な特別仕様の携帯端末に、翻訳ソフトなど最新のアプリケーションを搭載して持たせただろう。ただし、翻訳は現代の兵士に必要な数多くの機能の1つにすぎない。 未来の「ネットワーク戦争」では兵士同士だけでなく、兵士が兵器システムや諜報活動の情報源と「つながって」いなければならない。軍事衛星や無人偵察機、地上のセンサーから送られる大量の情報を理解するには、多機能で使

  • 貧困層が引っ張るインド経済

    「後進国」の強み 経済の柱の1つの農業は今年も堅調で、農村の消費需要も拡大しそう Ajay Verma-Reuters 世界経済の09年の見通しがほぼ真っ暗ななか、数少ない希望の光がインドだ。インド経済の今年の成長率は5~6%で、90年代の年平均成長率を上回りそうだ。 確かに株価は暴落して失業者は急増、住宅価格も一部ではアメリカのマイアミビーチ並みに下落している。1月7日には、IT大手サティヤム・コンピュータ・サービスが利益の水増しを行っていたことまで明らかになった。 それでも、国全体が脱線するほどではない。インドが誇る意外な牽引役、貧困層のおかげだ。近年の所得増加の結果、生活必需品や基的サービスに対する巨大な需要を生み出している。 彼らは、最低生活水準よりは上の暮らしをしているが、現代の消費社会の仲間入りをするほど豊かではない中流予備軍。その台頭自体は新しい話ではないが、今回の危機では

  • 景気の下げ止まりは「偽りの夜明け」

    11日の日経平均株価が一時、8ヶ月ぶりに1万円台を回復した。市場では「相場は底を打った」という楽観論が広がっているが、当だろうか。強気の見方の根拠となっているのが、アメリカ経済の回復だ。5月に発表された主要金融機関の「ストレス・テスト」(特別検査)の結果が意外に悪くなく、一部の銀行は公的資金を返済する方針を発表した。しかし今回の検査の対象になったのは主として保有有価証券の評価額であり、商業銀行の貸出先の経営状態などは検査対象になっていない。 これは日の90年代初期に似ている。当初も大蔵省は、銀行の保有している株式や担保不動産の値下がりが業務純益(業のもうけ)に比べればごく軽微だと説明した。不良債権の問題が表面化したのは、1992年に日住宅金融の1兆円を超える不良債権が出てからだった。この後も株価は何度か上昇したが、長続きしなかった。このような一時的な景気回復を白川方明日銀総裁は偽り

    景気の下げ止まりは「偽りの夜明け」
  • 失業率8.9%と戦うアメリカ人

    世界同時不況が続く中、アメリカの失業率は8.9%という水準に達し、ここ25年間で最悪という状況です。8.9%というと91%の人の雇用は安泰という風に見えますが、実際は昨年秋以来の金融危機の影響で一旦解雇され、後に再就職をした人も多いわけで、正にアメリカの雇用は激動していると言って良いでしょう。 再就職が多いと言いましたが、意外なことに企業の採用活動は活発です。勿論、多くの企業でリストラの嵐が吹き荒れているのですが、とりあえず破綻の危険のない企業の場合は、要員の削減そのものはそれほど行われてはいません。例えば金融機関で4000人の解雇をするという場合、支店の統廃合や部門の廃止といったケースは別ですが、それ以外の人間の必要なポジションについて言えば、給与の高い人を解雇して安い人を採用するということが行われているからです。 また事業を拡大している企業の場合は、「優秀な人材が労働市場にたくさん出て

  • リーダーが消えた国ニッポン

    漂流国家 役人たちの信頼は地に落ち、政治家はどうしようもないほど無能だ Yuriko Nakao-Reuters 高級店が立ち並ぶ東京・銀座のど真ん中に火星人が舞い降りて、「この国のリーダーに会わせてくれ」と言ったとする。20年前なら彼はいろいろな場所に連れていかれただろう。天皇のいる皇居かもしれないし、どこかの官庁の大物官僚のところかもしれない。国会の有力政治家や、大企業の社長に引き合わされた可能性もある。 だが今そんな質問をされたら、ほとんどの日人は困惑するだけだろう。火星人はがっかりして消えてしまうに違いない。 現在の日にはリーダーがいない。天皇はストレスが原因とみられる体調不良を訴えているし、役人たちの信頼は地に落ちた。政治家はどうしようもないほど無能で、ビジネスエリートたちは経済を立て直せずにいる。どこを見ても責任者らしき人物は見当たらない。 皮肉なことに、日は伝統的に有能

  • 1