むかしむかし夫婦者(ふうふもの)があって、永(なが)い間(あいだ)、小児(こども)が欲(ほ)しい、欲(ほ)しい、といい暮(くら)しておりましたが、やっとおかみさんの望(のぞ)みがかなって、神様(かみさま)が願(ねが)いをきいてくださいました。この夫婦(ふうふ)の家(うち)の後方(うしろ)には、小(ちい)さな窓(まど)があって、その直(す)ぐ向(むこ)うに、美(うつく)しい花(はな)や野菜(やさい)を一面(めん)に作(つく)った、きれいな庭(にわ)がみえるが、庭(にわ)の周囲(まわり)には高(たか)い塀(へい)が建廻(たてまわ)されているばかりでなく、その持主(もちぬし)は、恐(おそ)ろしい力(ちから)があって、世間(せけん)から怖(こわ)がられている一人(ひとり)の魔女(まじょ)でしたから、誰一人(たれひとり)、中(なか)へはいろうという者(もの)はありませんでした。 或(あ)る日(ひ)の