JAXAを退職した宇宙飛行士・野口聡一さんの死生観を変えた「無の世界」 3度の飛行、宇宙で見つめた命の尊さ 6月1日付で宇宙航空研究開発機構(JAXA)を退職した宇宙飛行士野口聡一さん(57)が、共同通信の単独インタビューに応じた。1冊の読書体験をきっかけに宇宙を目指し、3度の飛行を実現した野口さん。その過程で生じた心境の変化や今後の展望を尋ねた。(共同通信=七井智寿) ―宇宙飛行士を目指したきっかけは何ですか。 「高校3年の時に読んだ、ジャーナリストで評論家の立花隆さんの本「宇宙からの帰還」が印象に残っています。宇宙に行った米航空宇宙局(NASA)の飛行士のルポルタージュで、極限的な生と死の場面に立ち会うことが及ぼす内面世界への影響にフォーカスしていました。すごく新鮮な切り口で、そこからずっと、宇宙に行きたいと思っていました」 ―人の死生観という考えが最初にあったのですか。 「立花さんの