「サンカーラ」の連載を始めたとき、まず問われたのが「これはエッセイですか? それとも小説ですか?」ということだった。いま、文章は細かくジャンルに分けられてしまう。かつてはそうでもなかった。もっとあいまいなゆるいくくりしかなかった……。文壇という場を離れてしまえば、実際のところジャンルという線引きは無意味化し、コンテンツは自由に創造の庭に繁茂している。文壇という場は「花壇」のようなもので、自由な繁茂に対して囲いのある人工的な場所だと思える。そこでは、何科に属する花であるかが重要らしい。 私はもともと、インターネットという、コンテンツのジャングルのような場所から飛び出して来た書き手であるので、ジャンルというものがよくわからない。一番最初についた名前は「ネットコラムニスト」だった。小説を書くまえ……、メールマガジンを出していたころそういう肩書きで紹介されるようになった……。小説だろうと、エッセイ
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