自宅には小さな書斎がある。机や書架をのぞくと畳が三畳のみ。窓の障子に向かって作り付けの書き物机があり、そこは掘りごたつのように足をおろせるようになっている。座布団に座って足をおろせば、まさに自分のコックピット。書き物も、メールも、読書もその大半をここで行う。疲れたら、そのままうしろにひっくり返って寝転がれるので、ぐうたらな物書きにはうってつけなのだが、唯一の欠点は腰に支えがないことである。椅子ならば背もたれもあろうが、畳座ではそれもかなわない。したがって、書き物の作業が続くと、微妙に腰が重くなってくる。そこで座椅子である。インターネットでずいぶんと探したが気に入る物が見つからない。背もたれを板状にすると、思いの外存在感が大きくなって目障りである。できるだけミニマルに、腰を支える機能だけあればいい。そう考えていた矢先にこの仕事が訪れた。制作したのは一筆書きのような簡潔な椅子。せんべい座布団を