3・11後 想像力の役割は 東日本大震災から4年。未曽有の危機を受けて、表現者や批評家の想像力はどのように働いてきたのか。震災をめぐる思索や創作で知られる批評家・作家の東浩紀さんと作家の川上未映子さんに語り合ってもらった。 ■風化進み、自画自賛国家へ ――東京に住むお二人から見て、3・11の痕跡は今どこに見えますか。 川上 風化が進んでいるのを感じます。福島の現場では、痕跡どころか問題が何も収束していないのに、東京も含めた被災地以外の場所ではゆるくまひしていく感じ。震災の直後も今も、自分の中には、「事実」と「国の認識や対応」にギャップがある。でもそのギャップにだんだん追いつけなくなっている。 東 3年目が大きな節目だったのではないでしょうか。今は汚染水の問題が起きても前ほど騒がれなくなりました。風化というよりも、「福島原発の事故に向き合わない」という意思がいろいろなレベルであるのではないか