過当競争や需要の落ち込みなどが原因で、閉鎖するガソリンスタンド(GS)が相次ぎ、地域住民へのガソリンや灯油の供給が難しくなる「GS過疎地」が全国で生まれている。業界団体は、人口過疎地を中心に約150自治体が「GS過疎地」だと指摘する。しかし、人口過疎地ほどマイカーが生活に欠かせず、GSは重要なライフラインだ。高齢世帯への灯油配達という役割もある。そんな中、唯一のGSを住民が一丸となって守る村を訪ねた。【竹内良和】 日本アルプスの山あい、長野県南部の泰阜(やすおか)村。民家と棚田が混在する村の坂道を、さび付いた給油車がエンジンをうならせて上る。民家の軒先に並ぶ赤いポリ容器に、給油車から灯油が注がれた。 国道も信号機もない過疎の村。面積は東京ドーム約1380個分(64・54平方キロ)で、人口は約1900人。高齢化率は38・60%に達する。寒冷地のため、屋外の大型タンクに灯油をためる家庭も多いが