「カステラ一番、電話は二番」のキャッチコピーで知られる「文明堂」。老舗の菓子屋は、経営の効率化とブランドの再構築を目指した経営統合をどう進めたのか。IT企業出身の文明堂東京社長、大野進司氏に聞く。 長崎のご当地菓子としてポピュラーなカステラ。中でも「文明堂のカステラ」は全国区で広く知られているブランドの1つだ。文明堂は、1900年に長崎市丸山町で中川安五郎が創業した菓子製造販売の老舗である。 現在、九州から西日本だけでなく、東京を中心とした関東地区にも数多くの「文明堂」の店舗が存在している。その最初のきっかけは、創業者の実弟である宮崎甚左衛門が長崎の本店で身につけたカステラ作りのノウハウを持って東京に進出し、東京一号店(東京文明堂)を創立した1922年にまでさかのぼるという。 途中、関東大震災や東京大空襲などによって何度か店舗を失う憂き目に遭うも、東京での事業を続け、「宮内省(現宮内庁)御