ノンフィクションは真実100%という清水潔「ノンフィクションには100%真実に基づかなければならないという制約があり,書けないこともたくさんあるが,フィクション(小説)はノンフィクションのそのような制約を超えて表現できることがある」というなかなか面白いテーマを含む対談本になっている. この対談における清水氏のノンフィクションに対する考え方に基づけば,ノンフィクションを謳う伊藤詩織著「Black Box」も当然100%真実でなければならないということになる. しかし筆者も含めすでに多数の人が言及している通り,Black Boxが100%真実で構成されているということはあり得ない. 詩織さん自身も誤りを認めた「存在しない元検事の叔父」,物理的不整合の西日ベルリン問題,証拠もなく客観的状況とも整合しないデートレイプドラッグや負傷の描写など,多岐にわたって強く創作が疑われる描写がある. また,(お