タグ

ブックマーク / d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI (10)

  • 伸びゆく商都ムンバイの暗黒「レンタルチャイルド」 - 深町秋生の序二段日記

    いや、もう白旗をあげるしかない。打ちのめされた。 石井光太の最新ベストセラー「レンタルチャイルド」を読んだ。前にこういうエントリを書いて、「物乞う仏陀」を紹介したわけだが、衝撃度や濃密さはこの最新作のほうが上回っていると思う。売れているのもよくわかる。 http://d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI/20100823(禁断に片足突っ込むノンフィクション「物乞う仏陀」) 著者は、日でもっともハードな生き地獄を目撃した男ではなかろうか。「生き地獄ウォッチャー全日大会」みたいなものがあったとしたら、たぶん優勝するだろう。それほど濃厚な暗黒がぱんぱんにつまっていた。「物乞う仏陀」でも、インドマフィアの内部に侵入しただけあって(おかげで仲介したマフィアの下っ端が腕を切断されるという制裁リンチあり)、インド貧民街の臭いや熱気がすごい。そこに登場する人間たちもノンフィクションとは思え

    伸びゆく商都ムンバイの暗黒「レンタルチャイルド」 - 深町秋生の序二段日記
  • アナーキーな自警団「サマーウォーズ」 - 深町秋生の序二段日記

    日テレで話題のアニメ『サマーウォーズ』を見た。 かなりネットで大評判になった作品であって、いまさらなにを言っても周回遅れ感がつきまとうだろうが、感想を書いておく。テレビ版はかなりカットした部分も多いらしく、とんちんかんな指摘になるかもしれないが。 演出や派手なCGには目を見張ったが、シナリオに欠陥があるのか、思想が受け入れがたいからか、この世界にうまく入り込めなかった。 数学オタクの高校生、小磯健二は数学オリンピック日本代表の座をあと一歩で逃し、しょっぱい夏休みをすごしていたが、マドンナの夏希先輩からバイトを持ちかけられ、一緒に彼女の故郷である長野まで旅行する。なんと婚約者のフリをしてくれとの驚きの依頼で、彼女の実家に行ってみると、そこには何世帯もの大家族が待っているのだった。90歳にもなる夏希の曾祖母で陣内家の当主に挨拶をするが、おりしも仮想空間“OZ”のパスワードを解いてしまったことか

    アナーキーな自警団「サマーウォーズ」 - 深町秋生の序二段日記
    Makkon810501
    Makkon810501 2010/08/13
    チラ裏みたいな脚本だったな
  • 一億総ヤクザ - 深町秋生の序二段日記

    うつくづくなんというかアナーキストでノーフューチャーな気分だ。安全ピンをシャツや耳にいっぱい刺して、発煙筒をもくもくと焚きながら街を練り歩きたい。アンチクライスト。ロンドンコーリング。女王陛下。 朝青龍の引退に続き、スノボ選手の服装問題(べつに問題でもなんでもないことを、さも問題であるかのように扱う世の中がすくいがたい病気だと思う)などを見ると、怒る前におそろしくなってくる。 この恐怖感はべつに今に始まったことじゃなく、成人式に参加した数万人のうちに含まれるごくごくわずかなお調子者のために社会面を数段ぶち抜きで報じた新聞(私の故郷の地元紙は社会面の3分の2ぐらい使って、酔っぱらってガラスを割ったバカに筆誅をくわえていた。社説もばっちり説教モード。新成人を祝福するどころか、みんな憎悪しているのがよくわかった)や、豊田商事会長刺殺事件やロス疑惑や松サリン事件を経てもまるで変わることのないメ

    一億総ヤクザ - 深町秋生の序二段日記
  • 深町秋生の序二段日記

    アメリカが清らかだったことはかつて一度もない。われわれは移民船のなかで純潔を失い、それを悔んだことは一度もなかった。アメリカの堕落を特定の事件や状況のせいにすることはできない。最初からないものを失うことはできないのだ。 「アメリカン・タブロイド」J・エルロイ さて町山さん(id:TomoMachi)の新刊「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」を読んだ。 忙しい忙しいと言いつつ、こうして読了&感想文アップをしているのは、このに収録されている週刊現代での連載コラム「アメリカで味噌汁」をすでにほとんど全部読んでいたからでもある。 町山さんのコラムによって、「アメリカという国に対する見方が変わった」という人は多い。週刊現代連載時にはあの屠畜ルポで有名な内澤旬子さんのイラストが載っていて、最終回だっただろうか、「アメリカは大嫌いだったけど、町山さんのおかげで見方が変わりました」とか、正

    深町秋生の序二段日記
  • 深町秋生の序二段日記

    なにかの兆しがつづいている。テレビ各局がパチンコ、競馬、ロトシックス、膣カンジダ治療薬、競艇……のCMを流していた。ニュース時間帯に。あぜんとする。CMの質をとやかくいえるほどテレビ局の台所は楽ではないのだとか。 辺見庸「水の透視画法」9月20日山形新聞 今のテレビCMを見ているとなんだか複雑な気分になる。 なんだかんだ言ってもテレビはけっこう見ている。ニュースや格闘技番組ばかりだが、タモリ倶楽部やプロレス中継といった深夜のやつをガンガン録画して、暇があるとそれを見ている。しかしそれであぜんとさせられるのがCMだ。とくに深夜。 もうずっと昔から「うわ、最低。あのCM」とか「製作者低脳!」とか、まあ画面を見ながら言いたい放題だったのだけれど、最近はそんな怒りさえわかず、ただ暗い気持ちになる。 冒頭で引用した辺見庸氏の言葉を借りれば、ニュースという時間帯でさえCMはこうである。ゴールデンタイム

    深町秋生の序二段日記
    Makkon810501
    Makkon810501 2008/09/26
    そうそう。昔「テレビ見てるとバカになるよ」って親に言われたけど、今は逆に言ってやりたい
  • 深町秋生の序二段日記

    いやあ、すごいもんみたなあ。すごいすごい。 もうたくさんあちこちで語られている「ダークナイト」である。今日は映画感想。 熱狂的に支持される一方で、けっこう私の友人知人の間では不評であったりする。たしかにこの作品、欠点が山ほどあるし、この映画の米興行成績がスターウォーズを抜いて、タイタニックにまで迫るというのも不思議だ。有名ブロガーのたけくまさんは「隙がない」とおっしゃっていたが、いやあけっこう隙だらけだと思う。 まずアクションの撮りかたが下手だ。いまいちアクションシーンでなにが起きてるのかわからなくなかったり、レーティングの問題を気にしたのか、直接的な残虐さを必要以上に隠していたように見える。そのぶん爆破はよかったが。暴力グルメも納得の味とはちょっと言いにくい。 さらに物語の横軸を司るヒロインのレイチェルを演じたマギー・ギレンホールがちょっと……。主人公と、熱血検事役のエッカート両方から愛

    深町秋生の序二段日記
    Makkon810501
    Makkon810501 2008/09/01
    確かにジョーカーよりそれに振り回される人のが暗かったというか、悪い感じがした
  • 深町秋生の序二段日記

    サムライ映画の虜になってしまった映画評論家が放つ「根的に間違っているけど問答無用でおもしろい」大傑作! 「映画秘宝 9月号」柳下毅一郎の新刊レビュー ちくしょー、柳下さんに先を越された! 今月の映画秘宝の書評欄で、スティーヴン・ハンターの傑作「四十七人目の男」を取り上げてらっしゃった。今、(一部の)ミステリファンの話題をかっさらっている作品なのだ。 「キル・ビル」や「リトルトーキョー殺人課」をも超えるあやしげなニッポンが炸裂するというそういう作品であります。しかしなんだってハンターが……。 S・ハンターは高級紙ワシントン・ポストで映画評を担当。ピュリッツァー賞を受賞する映画評論家であり、「このミス」海外版では「極大射程」で1位をゲットする常連ランカー。その「極大射程」もマーク・ウォルバーグ主演「ザ・シューター」として映画化されるなど高名な冒険小説家だ。 しかし最近の工業製品化したハリウッ

    深町秋生の序二段日記
    Makkon810501
    Makkon810501 2008/07/30
    ハンターは痴女モノにハマったんですね、わかります
  • 深町秋生の序二段日記

    ああ、「神戸在住」が終わってしまった。 「アフタヌーン」ではとうの昔に終了していたのだが、今年になって最終の10巻が発売されていた。それにしても感慨深い。「神戸在住」は、99年の連載以来私がもっとも愛したコミック作品の一つだった。 一見すると、スクリーントーンを使わない柔らかなタッチと手書きのモノローグ、それに基的には善人ばかりの心地よいエッセイコミックに見える。神戸に住む文系女子大生のふつうの日常生活をつづった小品という感じ。普段は「ホムンクルス」とか裏モノタブー系コミックとか「闇金ウシジマくん」といった冷酷非情残酷格差を愛する私とは相容れない……ように思えるのだがこれが違う。 同じアフタヌーンの癒し系SFコミック「ヨコハマ買い出し紀行」と作風が似ているといわれているが、質的にはまったく似てはいない。「神戸在住」はとにかく硬派だったのだ。それに強い情念を感じさせる純文学作品でもあった

    深町秋生の序二段日記
    Makkon810501
    Makkon810501 2008/05/09
    10巻読んだ。だめだああああ泣ける・・
  • 深町秋生の序二段日記

    昭和30年代の暗黒史特集を今月の「映画秘宝」に書いたが、残念ながら字数の都合上漏れてしまった凄まじい事件がある。今日は一つ紹介したい。 昭和32年(1957)の有名な出来事にジラード事件というのがある。若いGIが面白半分に日人のおばちゃんを追い駆けていってハンティングしてしまったという凶悪事件だ。で、なにしろアメリカ兵なので、ムショにも放り込まれずアメリカに帰ってしまい、日人大激怒となったのだが、そのあたりはぜひ今月の映画秘宝誌を読んでいただきたい。だが同年にはもっとひどい事件が起きている。 8月、茨城県の米軍飛行場から500メートル離れた地点でちゃりんこに乗っていた日人女性の身体が胴体のあたりから真っ二つに裂かれた。同様に女性の息子である20代男性も腹部に重傷を負った。飛行場から飛び立ったL22連絡機の翼が彼女らに衝突したのだ。米軍は猛暑による熱気流で起こった不可抗力の事故と主張し

    深町秋生の序二段日記
    Makkon810501
    Makkon810501 2007/12/10
    30年代は怒りの時代
  • 深町秋生の序二段日記

    昭和30年代が好きだ。 なぜならそこにあるのは混沌と暗黒の世界。右翼はいつ起きるかわからない革命に怯えて政治家や出版社を襲い、左翼は大勢で道端や国会や大学で暴れまくった。長嶋が天皇の前でホームランを打っていた頃に、熊の漁民は有機水銀たっぷりの魚をべて苦悶していた。正義のヒーロー力道山はドラッグと酒にトチ狂い、目の前にあるものすべてをぶん殴った。 高度成長期の東京はオリンピックに向けて大工事。騒音と埃と神風トラック、神風タクシーが行きかうやかましい街だった。増える車の台数に道がおっつかず、そこいらで大渋滞が起きていた。環境保護という概念は確立されてはいないために、煙突からは有害な黒い煙がもくもくと吐かれ、東京湾には得体の知れない物質の混じった廃液が垂れ流し。 輸送に明け暮れる国鉄は鶴見と三河島と宇和島で大事故を起こし、100人単位で乗客をあの世に送った。戦争の苦しみを知っていた規律正しい

    深町秋生の序二段日記
  • 1