昭和33年、茨城県で発生したバラバラ殺人事件の捜査に渡部雄吉が撮影した記録。 戦後の空気が色濃く残る昭和の舞台を背景に、刑事が聞き 込みに張り込み、時には居酒屋で休息をとるその姿は、まるで映画のワンシーンのようだ。渡部がついた捜査官の二人は事件発生現場から派遣さ れた茨城県警の若い刑事、そして警視庁捜査一課のベテラン刑事だ。ハンチング帽を被りロングコートを羽織って下町を歩く姿は、まさしく和製 フィルムノワール。 この世にも稀な名作は、2006年に古書店のイギリス人ディーラーが神保町で120枚にものぼるプリントを発見するまでは、知る人ぞ知るといった存在であった。ヨーロッパに持ち帰られたプリントから、2011年に、フランスの出版社から写真集として纏められ一冊の写真集として出版されたことがきっかけで、存在に光があたることになり、結果その年のベストセラーの一冊となった。 本作品は、オリジナルのネ