阿部勇樹は、わたしにとって“エリート”という印象があります。高校サッカーではなく、ジェフ市原のユース出身。当時のJ1最年少出場記録(16歳333日)をもち、どのポジションでもそつなくこなせ、ロングキックは一級品。顔も男前ときています。 しかし『泣いた日』を一読して、遠い存在にかんじていた阿部が、いっきに近づいたような気がしました。 〈僕は高校時代の持久走でも疲れていると「もう無理」と言ってすぐにあきらめてしまうタイプだった。なにかに挑戦するのは嫌いではないけれど、もし結果がダメだったときのことを考えたら、最初から無理だと思っていたほうが自分のダメージも少ない〉 本書の阿部勇樹は、華やかな“阿部勇樹”とは一線を画しています。2007年のイビチャ・オシムの卒倒から話がはじまるように、自身の過去の栄光についてはおさえられ、思い出す記憶は大半がネガティブなエピソードです。 アスリートに勇気や希望を
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