第15回 あなどれない蚊の吸血 温暖化で生息域拡大し感染症のリスク高まる 文/藤田 香(日経エコロジー編集委員) 2007年3月23日 真っ赤な血でお腹を満たした後、草むらで休むヒトスジシマカ(上)。日本に普通に存在するこのヤブカは、デング熱や西ナイル熱などの感染症を媒介する。年平均気温11℃以上の地域にいるが、近年の温暖化によってその分布域は拡大している。1950年の北限は関東北部だったが、2005年には青森県境でも見られるようになった。 「温暖化によって感染症がすぐに流行するわけではないが、蚊の生息域が広がり活動が盛んになれば、感染症のリスクは高まる」と、国立感染症研究所の倉根一郎・ウイルス第一部長は警告する。 先進国の大都会とて無縁ではない。米国では1999年にニューヨーク市で西ナイル熱が発生し、7人が死亡。あっという間に全国にまん延し、2006年には43州で4219人の患