『十三機兵防衛圏』では散りばめられた数々の要素が我々をノスタルジアへ誘う。登場する設定は真新しいものではない。だからこそ、その真新しくなさが効果的に働く。横視点の 2D ベルトコンベアライクなゲーム画面も、美麗な背景美術も。木造旧校舎に指す西日も、怪獣が街へ襲い来る目的も、野球中継延長によるビデオの 3 倍録画の失敗も。ゲーム機目当てで訪れる友人宅も、下校中の商店街での買い食いも、包帯に身を包んだ謎の美少女も。何もかも、みな懐かしい。 1985 年という年代は『十三機兵防衛圏』のもたらすノスタルジアの大きな土台だ。それは他の要素と混ざり合い、豊かな大衆消費社会へのものに留まらず詳細不明のいつか、あの頃への憧憬という感情を我々にもたらす。私は 1985 年を知らないし、買い食いをする女子高生だった経験はない。それでもそれらの情景は、私に懐かしさを覚えさせるのに十分だった。 特に重要なのが登場
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