パレスチナが足りない 日本のメディアではパレスチナ問題と旧ユーゴ紛争は、ともに『民族問題』と『宗教問題』として語られることが多い。いや、この表現は正確ではない。『民族』『宗教』という言葉が口にされた瞬間から、日本人の多くは思考停止に陥ってしまい、『二千年にわたる宿命的対立』やら『一神教どうしの憎悪の関係』といった説明文句が登場すると、それで議論が打ち止めにされてしまう。 (四方田犬彦、『見ることの塩』作品社、p417) パレスチナ問題というかイスラエル問題というか、名前は何でもいいが*1、この問題の本質というのはパレスチナが足りないことにあるように思う。 一方にイスラエルがいて「住民が全員ユダヤ人であるようなイスラエル国をパレスチナの地(あるいは、ヘブライ語で言えば「エレツ・イスラエル(イスラエル人の土地)」)に築き上げること」を目指している。そして他方にパレスチナ人がいて、「イスラエルが