物事を細かく分析していけば、やがて揺らぎのない真実に行き当たる――。私たちはこうした考えを“科学的”と捉え、日常の暮らしやビジネスにおいても役立つと思っている。 だが、細分化することと物事がわかることは、同じではないのではないか、という考えが科学界において現れてきている。分子生物学者の福岡伸一さんは新著『世界は分けてもわからない』(講談社現代新書)を先日出版したが、そのタイトルは、私たちが常識だと思っている発想こそが問題だと示唆している。 なぜ世界を細かく分けることが理解につながらないのか。福岡さんにうかがった。 ――福岡先生はここ数年、精力的に書籍を執筆されています。機械論的な生命観に対する反省が共通して見受けられますが、どういう考えで書かれているのでしょうか? 福岡:人類始まって以来の問いである、「私たちが生きているとはどういうことか」について、一人の生物学者である自分がどう答えられる
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