私たちが使っている言葉のなかには、仏教に由来する言葉がたくさんあります。その理由を、私は「地下水」にたとえて説明しています。つまり「日本人の心と生活の奥底には、仏教思想という地下水が脈々と流れている」ということです。 仏教が日本に伝えられたのは6世紀頃で、当初は一部の権力者や高貴な人たちのものでした。しかし、室町以降、江戸時代にかけて庶民に浸透し、大衆化が進みます。その結果、人々の暮らしに仏教思想が深く入り込んでいきました。それが地下水となり、地上にしみ出すようにして人々の生活に潤いを与えてきたのです。それゆえ政治、経済、文化、あらゆる分野に仏教思想と結びついた言葉が広く使われているのでしょう。キヤノンやカルピスなどの社名・商品名も、実は仏教語なのです。 現代は科学至上主義、経済中心主義がはびこって、心の潤いがなくなりつつあります。いま改めて身近な仏教語に注目することで、日本人が忘れていた
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