ウィキペディアは,インターネットで誰でもアクセスが可能で,フリーライセンスの採用により印刷や配布も「フリー」に行うことができるオンライン百科事典である。筆者はウィキペディアの日本語版編集者として,その信頼性と社会的役割について本誌2012年4月号で解説した1)。信頼性は完全なものではないが,既に高い認知度を得ており,信頼性を高めることは,ウィキペディアに参加する者にとっての課題となっている。 ウィキペディアは,誰でも閲覧できるだけではなく,誰でも編集できるプロジェクトでもある。「現在ウィキペディアに参加している者」だけが編集できるのではなく,間違いに気付いたならば,誰でもそれを修正できる。単純な間違いを修正するのはそれほど面倒なことではない。「ウィキペディアの参加者」として,熱心に,継続的に参加を続けなければならない義務もない。修正することによって,その後の閲覧者は正しい情報を得ることがで
[著者抄録] ウィキペディアは,誰でも編集できる,フリーなオンライン多言語百科事典である。多くの人に利用されているが,信頼性についての疑問が示されてきた。本稿では,まず,その信頼性について,先行する調査を概観していく。百科事典の性質や,ウィキペディアの記事内容に関する「検証可能性」「独自研究は載せない」「中立的な観点」という重要な方針が促す改善と常に発展過程にあるという性質による限界を論じる。また,あらゆる人に知識を提供するオンライン百科事典の果たす社会的な役割についても検討する。誰もが専門的な知識を理解しなければならない知識基盤社会/高度情報化社会において,検証可能な信頼できる情報源を示したオンライン百科事典は,すべての人を専門的な知識へと導くことを可能にする。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く