東日本大震災への対応で菅政権は、被災地支援と原発事故という「同時多発危機」への対処を強いられる苦境が続く。大津波のあまりの惨状に復興への足がかりをなかなかつかめず、原発事故は続出するトラブルへの対症療法的対応で一進一退が続く。発生からの1カ月を政治の現場から振り返る。【田中成之、野原大輔、野口武則】 ◇官邸チーム乱立 官僚にとまどい 菅直人首相や枝野幸男官房長官が原発事故の対応に追われた結果、政府の被災者支援は後手に回った。首相官邸の態勢を立て直そうと設置された「本部」や「会議」は傘下のチームも含めると20を超え、指揮系統の混乱がかえって首相の指導力不足を印象づけている。 「被災地は大丈夫ですか」。震災発生当初、「原発一色」の官邸を見かねた民主党の岡田克也幹事長や仙谷由人代表代行(前官房長官)は首相に繰り返し懸念を伝えた。「役所は自分で責任を負わない。誰に何をやらせるかが大事だ」が首相の持