河瀬直美監督のドキュメンタリー「玄牝(げんぴん)」をみた。舞台は「自然分娩」を実践することで有名な愛知県の吉村医院だ。「江戸時代の生活をしていれば異常なお産は無くなる」「自然なお産だと子供を愛せる」という発言が随所に出てきた▲違和感を覚える。帝王切開で産み、子供を愛している親はいる。医療環境が整っていない江戸時代のほうが母子に負担がかかる出産だったのは容易に想像できる。「自然だから良い」という発想はどうもなじめない。【石戸諭】
河瀬直美監督のドキュメンタリー「玄牝(げんぴん)」をみた。舞台は「自然分娩」を実践することで有名な愛知県の吉村医院だ。「江戸時代の生活をしていれば異常なお産は無くなる」「自然なお産だと子供を愛せる」という発言が随所に出てきた▲違和感を覚える。帝王切開で産み、子供を愛している親はいる。医療環境が整っていない江戸時代のほうが母子に負担がかかる出産だったのは容易に想像できる。「自然だから良い」という発想はどうもなじめない。【石戸諭】
大崎市古川の内科医、佐藤荘太郎さん(61)が6日、「子宮頸(けい)がん予防ワクチンの接種効果は医学的に示されていず、副反応が顕著」との見解を、同市の住民団体「菜の花の広場」の学習会で披露した。同時に、市が今月から実施する同ワクチン接種助成を見直すよう求める要望書を近く市議会に提出する考えも明らかにした。同ワクチン接種に反対する見解は異例。 子宮頸がんは性的接触によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染で発症するがんで、毎年約2500人が死亡すると言われている。感染前の10代前半までにワクチンを接種(3回)すれば発症を防げるとされるが、接種1回につき約1万6000円の費用がかかる。国は昨年秋、中学1年~高校1年生の希望する女子を対象に、国と市町村が接種費用を折半して全額助成する措置を講じた。 これに対し、佐藤さんは海外を中心に子宮頸がん予防ワクチンの関連情報を調べ、(1)HPV感染予防のワ
「麻疹(ましん)などを予防する新3種混合(MMR)ワクチン接種と自閉症発症に関連がある」。98年、英医学誌に発表された説だ。当初から研究者によって批判され、調査結果自体も「でっち上げ」だった▲だが、この説は一気に広まっている。メディアが「危険性」をあおったためだ。英国ではワクチンの接種拒否、はしか感染者が増えた。いいかげんな説を信じて危険性を訴えた結果、別の危険を生みだす。日本でもよくあることだ。人ごとではいられない。【石戸諭】
140字以内の「つぶやき」を流すインターネット上のサービス、ツイッターを使い始めて4カ月が過ぎた。最大の魅力は読者とダイレクトにつながれることだ。記事やつぶやきに対する反応をすぐに知ることができる▲双方向のやり取りから新しい視点を得ることも多く、良質のネットワークが広がる。いたずらにネットを敵視する声もまだまだ多いが、メディアを巡る環境は確実に変わった。それも良い方向に。今年もこの流れは止まらないだろう。【石戸諭】
「パワースポット」と呼ばれる新たな「霊場」が京都でも次々誕生。全国から人が集まっている。多くは自然や寺社の中にあり、そこに立ったり触れたりすると、良縁や仕事での成功への力がみなぎるのだとか……。「イワシの頭も信心から」と言われる通り、信仰の対象は人それぞれ。しかし、既存の宗教界には参拝者の増加を歓迎しつつも、オカルト信仰につながることを危惧する声もある。 源義経が修行したことでも知られる鞍馬山(標高570メートル、京都市左京区)。鞍馬寺はその深い森に包まれている。パワースポットとされているのは本殿前の広場だ。六角形をかたどった石畳中央の三角形の石に立ち、両手を広げる--。休日には、順番待ちで数百人の列ができることもある。 1200年の歴史がある鞍馬寺にあって、このパワーストーンは約30年前に作られたばかり。同寺の教えを表現したもので、信者は踏まないようにしてきた。だが昨年夏、現地を訪ねた有
消費者庁が「がんに効く」などの誇大広告で健康食品を売る悪質業者名の公表を決めた。消費者の財産と健康を守るために意義がある。 誇大広告は、客観的な証明がないまま美容や病気への効果をうたい、特定の商品や医療サービスを売り込む。「喜びの声」を集めた体験談が定番だが、暗示によるプラシーボ(偽薬)効果の過剰な評価や、最悪の場合、捏造(ねつぞう)の可能性もある。 「まずは疑え『健康食品』」(05年)▽「代替医療は玉石混交」(06年)の記事で、詐欺的商法(あえてこう呼ばせてもらう)を批判したことがある。提唱・推進者は概して、興味を抱いた買い手には親身に利点を説く。一方、疑問や批判を受け付けない独善を、取材で実感した。 魅力的な広告を信じたくなる人間の心理は否定できない。現代の科学やそれに基づく医療も万能ではないが、地道な事実の積み重ねの上に成立、進歩していることを忘れてはならない。 たとえ善意でも、妄信
「飲むだけで確実にやせる」「がんに効くといわれている」といった誇大な広告を使用する健康食品について、消費者庁は30日、悪質な業者名を12月から公表する方針を固めた。健康被害や効果がないなどの苦情が絶えないことから、健康増進法の運用を強化し、同法に基づく行政処分に初めて踏み切る。 健康食品で「がんが治る」などと医薬品のような効能をうたうと、薬事法に触れ、刑事罰の対象になる。 しかし、同法には触れないが、消費者を誤解させる広告は、インターネットを中心に少なくなく、国民生活センターには、健康食品について「飲んだら吐き気がする」「利用してもやせない」などの相談が、毎年1万5000件前後寄せられている。 健康増進法では、病気の予防効果や栄養成分の効果などをうたう広告で「著しく事実に相違したり、著しく人を誤認させるような表示」を禁止している。 消費者庁は今年6月以降、「最高のダイエット食品」「血行を整
薬や医療機器に頼らない「自然なお産」に取り組む産婦人科「吉村医院」(愛知県岡崎市)を舞台にしたドキュメンタリー映画「玄牝-げんぴん-」が公開中だ。河瀬直美監督(41)は「自分らしいお産を考えるきっかけにしてほしい」と話し、高校生限定の試写会も開かれた。【清水優子】 ◇「出産は幸せなもの」「神秘感じた」 吉村正院長(78)は「産む力」を生かした自然分娩(ぶんべん)を実践し、2万例以上のお産に立ち会った。妊婦は日曜を除く毎日、医院隣接の古民家に通い、一汁一菜の昼食を食べ、まき割りや畑仕事で体を鍛えて出産に備える。 河瀬監督は約1年間カメラを回し、出産シーンも克明に収めた。 10月末、東京・渋谷で行われた試写会は、高校生約40人が参加した。都立総合芸術高1年の高橋彩さん(15)の母親は2日間、陣痛に苦しんで彩さんを産んだ。「痛かった」と話す母に「怖い思いをさせて申し訳ない」と思い続けてきた。しか
マスコミの世論調査に対し種々の批判があるが、その中に「電話調査は固定電話が対象で、携帯電話しか使わない若者の意見が反映されないから不正確だ」「若者はインターネットを利用しているからネット調査のほうが正確だ」といった声が少なくない。しかし、調査を詳細に分析すると、こうした批判は、客観的なデータに基づかない感覚的な議論であることが分かる。調査の正確さを常に検証するのは当然だが、冷静に数字を分析し、活用してほしい。 まず携帯電話しか持たない「携帯限定層」の問題を考えよう。確かに電話世論調査は家庭の固定電話が対象で、携帯電話にはかけない。とはいえ、ふだん携帯電話しか使わない人も、自宅に固定電話があれば対象になる。 毎日新聞の世論調査は、対象の固定電話番号をランダムに作成して電話する。最初に出た人にだけ回答を求めることはしない。まず有権者数を聞き、複数いる場合はその中から無作為に1人を選んで調査を依
日本人の2人に1人はがんにかかる時代。東京都港区にある東京女子医大付属青山自然医療研究所クリニックの川嶋朗所長は、長年患者と接し、食生活の大切さを実感、がんを予防するための食事方法を提唱している。何を食べればよいのか。【小川節子】 がんの発生する要因として「食事35%、喫煙30%、感染症10%」と推測されている。にもかかわらず、がんの専門医療施設で食事指導をする医師や栄養士はほとんどいないのが実情だ。 がんの転移や再発を防ぎたいという患者の思いは切実だ。「何をどのように食べたらいいのか、質問されることが多い。食をめぐる最大の関心事に、多くの医療機関は対応できていない」と川嶋医師は指摘する。 米国ではがん予防のガイドラインを発表し、食習慣の改善を呼びかけ効果を上げている。また米国国立がん研究所は食品の成分、作用、代謝などについて調査を行い、効果の高い食品を並べた「デザイナーフーズ・ピラミッド
福岡県水巻町の遠賀中間医師会館で9月18日に開かれた第134回患者塾。後半のテーマは「民間療法の功罪」。ビタミンK2の代わりにホメオパシーという民間療法による特殊な錠剤を投与された山口県の乳児が昨年10月に死亡した問題を受け、民間療法との正しい付き合い方について医師が語り合った。 ◆ホメオパシー ◇欧州で保険除外の動き 津田さん 頭蓋内出血を予防するビタミンK2は体内で自分で作ることができないので、新生児にはシロップを投与して血を固める凝固因子を作ります。母乳中にはビタミンK2が少なく、今は新生児全員にシロップを飲ませています。 小野村さん ホメオパシーだけに頼ったため山口の赤ちゃんは脳出血を起こして亡くなってしまい、家族が損害賠償訴訟を起こすなど大きな問題になっています。このように西洋医学が除外され、ホメオパシーなどの補完代替医療だけでいろいろな病気を治そうとするために命を落とす症例も多
ある著名人のジャーナリスト論に「民の視点」「権力の監視」「志」が大事だと書かれている。しかし現代の問題は、民と権力の二項対立でとらえられるほど単純ではない▲複雑な問題で大事なのは、リスク評価、費用対効果、対策が新たなリスクを生まないか--を分析する力だ。市場を敵視したり、少年犯罪や化学物質など過小なリスクを大げさに報道することが「民の視点」なんていいかげんだ。冷静な分析が結果として公益につながる、と思う。【石戸諭】
アジア太平洋経済協力会議(APEC)中小企業相会合の関連会議として1日に岐阜市で開かれた「女性起業家サミット」の昼食会で、経済産業省の中山義活政務官(65)が「日本の女性は家庭で働くことを喜びとしている」などと発言。簡易ブログ「ツイッター」で女性たちの批判が集中した。 中山政務官は女性の社会参加推進を強調する一方で、日本女性が家庭で働くことを「文化だ」と発言。「日本の奥さんは力がある。デパートに行けば、初めに子どものもの、次に奥さんのもの、その次がペットのもの。4番目にご主人のものを買う」などと語った。 発言直後から「一緒のテーブルの女性陣からすごいブーイング。(発言は)世界の女性の意識にまったくついていけていない。日本への評価が下がる」など批判の書き込みが続いた。 中山政務官は2日、毎日新聞に「女性が十分に家庭で働いているという事実を言っただけ。差別するつもりはない」と説明した。経産省幹
◇背景に自己承認の要求 代替医療として知られる「ホメオパシー」にまつわる事件が、このところ立て続けに起きている。 そもそもの発端は、本年5月に、ホメオパシー治療で乳児が死亡した事件の訴訟が山口地裁で起こされたことだった。助産師のアドバイスで一般に使用されるビタミンKを乳児に投与せず、ホメオパシーのレメディー(砂糖玉)のみ投与したため、乳児がビタミンK欠乏性出血症で死亡したというものだ。 このほかにも、やはり本年、東京都国立市に住む40代の女性が、進行した悪性リンパ腫の治療をホメオパス(施術者)にゆだねて病院を受診せず、そのまま死亡するという事件もあった。 これらの事件をきっかけとして、まずネット上でホメオパシーへの批判や告発が急速に広がり、マスコミでも次第にその危険性が報道されるようになった。 ホメオパシーとは、約200年前にドイツの医師ハーネマンによって創始された治療法である。ある症状を
がん患者の半数近くが、通常の医療とは別に健康食品や気功などの補完代替医療を利用する中、これらの有効性や安全性を個別に検証しようと、厚生労働省研究班が有効事例の収集を始めた。全国の医師に情報提供を呼びかけており、データが十分に集まった段階で薬などと同等の臨床試験に移ることも検討する。 05年に公表された研究班の調査によると、何らかの補完代替医療を利用しているがん患者は44.6%に上り、平均で月5万円以上をかけていた。そのほとんどがキノコ類などの健康食品で、他に気功や鍼灸(しんきゅう)などが挙がった。一方、これらの有効性を科学的に検証した研究はほとんどないのが実情だ。 研究班は、補完代替医療単独でがんが消失したり小さくなったりしたケースや、痛みなどの症状が緩和されたケースを対象に、がんの種類や進行度、使った代替医療などをデータベース化する。専門家の分析で効果がありそうだと判断された場合、臨床試
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