財務官僚や日銀OBが大学教授やシンクタンクの理事長に転身するケースが目立っている。民主党政権が国家公務員の「天下り」禁止を打ち出し、これまで指定席だった政府系の金融機関や団体役員への道が閉ざされているためだ。天下りがなくなっても第2の奉公先を易々と見つけることができるトップエリートたちは、厳しい雇用情勢の中でもがき苦しむ若者たちのことを知っているのだろうか。 日銀OBは民間シンクタンクへ 3月25日午前10時30分の東京・大手町。約束の時間きっかりに記者会見の場に現れた稲葉延雄氏は、面映ゆそうだった。 コピー機・プリンター大手のリコーが4月1日付で社内に開設した「リコー経済社会研究所」の、初代所長に就任するという。同席した近藤史朗社長は「この研究所は経済・社会の構造変化を企業経営に的確に反映させるために設置した。シンクタンク機能と経営陣へのアドバイザリー機能を有する」と説明した。 研究分野