「教授の執刀を希望したのに、実際に執刀したのは別の医師だった—」 とある病院で、有名教授に執刀を依頼したにもかかわらず、実際には別の医師が執刀したとして、患者側が1億円の損害賠償を求めて提訴したというニュースがあった。 この事例では、術前に外来で教授が執刀を約束したことと、術後15日で患者が亡くなっていることが事態を複雑にしている。 実際私の外来でも、 「◯◯先生に執刀をお願いします」 と希望されることはある。 だが、一般論としては、誰が執刀するかは病院側に任せてしまった方が患者さんにとっては得策である可能性が高い。 その理由を説明したいと思う。 「執刀医」の定義とは? まず、執刀医を強い希望で指定する患者さんは、「執刀医」という言葉の定義に関して少し誤解していることが多い。 中には外科医が一人で行う手術もあるが、そもそも多くの手術は3〜4人といったチームで行われている。 一つの手術には様