池上町はバラック群が基になっており、今も路地は入り組んでいる。車が通れないため、グーグルマップのストリートビューを見ても表示されないところも多い(撮影/写真部・東川哲也)この記事の写真をすべて見る 昨年末からJFEスチールの管理下に置かれた、池上コインランドリーの跡地(撮影/編集部・小柳暁子) 日本の高度経済成長を支えた労働者が暮らす川崎・池上町でいま、住民たちが立ち退きを迫られている。あいまいにされてきた「戦後」の問題が、現代に表出した。地域の歴史をひもとくと、路地裏に残るひずみが見えてきた。ライターの磯部涼氏がレポートする。 【この記事の写真の続きはこちら】 * * * 「街の中が迷路みたいなんで、子どもの頃は鬼ごっこをするのが楽しかったですね」 ひとりの若者が狭くうねった夜の路地を、勝手知ったる様子で歩いていく。2015年10月。街灯が少なく、ひと気もないため、初めて来た人には少