「エストニアはアグレッシブな隣国(筆者注:ロシア)を持つが、政府機能の全てがデジタルになれば、例え領土を失っても国家を運営できる」――。 筆者は7年前の2015年、当時のエストニア政府CIO(最高情報責任者)であるターヴィ・コトカ(Taavi Kotka)氏に取材し、この発想にのけぞってしまった。危機に対する想定の「深さ」が、日本と違いすぎるのだ。 エストニア、韓国、そしてウクライナ。好戦的な隣国を抱える各国が、電子政府システムなど国の運営を支えるITインフラの危機管理をどう捉えているか、筆者の過去の取材と最新の動向を踏まえつつ、改めて考えてみたい。 【エストニア】不可侵の「データ大使館」に基幹データを退避 エストニアのコトカ氏は取材の中で、電子政府における「デジタルコンティニュイティー(デジタル継続性)」の重要性を繰り返し強調した。 電子政府を支えるシステムが他国からサイバー攻撃を受けた
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