「市販の蚊取り線香って、農薬と同じものが入っているのよ。あんなものひと夏吸い込んだらたいへん」と話してくれたのは、自然保護活動の委員をされていた方だった。真偽のほどはわからないが、とりあえず電気蚊取りではなく蚊取り線香なら安全、と思っていた私は大いにショックだった。とはいえ蚊に刺されるのも嫌なので、その後も十数年使い続けているが、格別の障害は出ていない。 今年、たまたま雑貨屋の店先で、除虫菊から作られたという昔ながらの蚊取り線香をみつけ、好奇心から買ってみた。色はおなじみの深緑色ではなく、枯草色で、パッケージも粗末なところが、エコっぽい。 使い始めて2日目、夫が音を上げた。「臭い」と言う。市販の蚊取り線香の「香」の香りではなく、草を燃やしたにおいが、翌日になっても部屋からぬけず、髪の毛から服にまで染み付く。しかたなく電気蚊取りに逆戻りし、仕事場でのみ使うことにした。そこで気づいた。蚊が死な