県議会常任委員会の保健福祉委員会は21日、県内の慢性腎不全の治療の中心的役割を果たしている仙台社会保険病院(仙台市青葉区)の医師2人を参考人として招き、腎臓移植が普及していない現状について意見を聴取した。議会側は国内の慢性腎不全の治療が移植ではなく人工透析に著しく偏っていることを問題視し、「移植の選択肢の説明が不足しているのでは」と指摘。医師側は「個別の患者に丁寧に説明をしている時間的、人的余裕がない」と訴えた。 同病院によると、透析患者は全国で年々増加し、09年は99年に比べ10万人増え29万人に達している。一方、09年に腎臓移植を受けた人は1302人と著しく少ない。100万人当たりの移植件数(03年度)は、日本は6・7件にとどまっているのに対し、米国は51・5件、英国は29・3件に達している。 また、透析は生涯続けなければならないため、移植に比べ医療費が高く、財政圧迫も深刻化している。