汐の宮温泉病院で「疑似注射」による治療に取り組む兵庫県の42歳の男性。注射器のピストンを押し戻すと、静脈に注射したかのように赤黒いインクがにじむ。薬物依存の新しい治療法として注目を集めている=大阪府富田林市 覚醒剤などの薬物依存を克服するために戦っている患者に、注射器を積極的に「提供」する病院が大阪府富田林市にある。依存から脱却するためには、薬そのものや、それを摂取するための注射器などは目の届かないところに遠ざけるのが通例のように思われてきたが、この病院では逆に、脳の働きを利用し、本物そっくりに似せた注射器による“疑似本番”で欲求を徐々に薄めていくのが狙いだ。「薬物使用」→「刑務所生活」→「釈放後に再び薬物使用」という負のサイクルに楔(くさび)を打ち込む新治療法として患者は年々増加しており、司法関係者らの注目も集めている。「射精の感覚」腕に注射器あてるだけで… 川のほとりに建つ「汐の宮温泉