いいねえ、なんかこう、立派っぽい理由があって別れててさあ。彼女がそう言うので私は驚いた。語っていた友だちもびっくりして、ひとつも立派じゃないよと言った。 いや立派だね、私が同棲三ヶ月で別れたときに比べたらはるかに立派だねと彼女は言う。立派じゃないって、どんな理由で別れたの、あなたたちは。私がそう訊くと彼女はなぜかいばって、ごはんつぶ、とこたえた。 一緒に住んでたら、食事もよく一緒にするでしょ。そしたら彼はごはんを残すわけ。残すっていうかお茶碗に何粒もはりついてる状態でごちそうさまなわけ。いやじゃない、それって。 私は少し思案してこたえる。私は米粒は残さない習慣がついてるけど、人によって作法は違うし、そんな気にするほどのことじゃないと思うよ。彼女はそうでしょうそうでしょう私も最初はそう思ったの、と勢い込んで言う。 でもだめ。なんかもう、がまんしてるとこっちがごはん入っていかなくなる。またあの