■ 全国から脚光を浴びる存在ではなかった やはり大津祐樹は強運を持った選手である。五輪前のニュージーランド戦、ベラルーシ戦では好機がありながらチャンスを逸していたにもかかわらず、開幕直前に行われたメキシコ戦での豪快ボレーに続き、なんと本大会初戦ではスペインを撃破するゴールをたたき出し、日本のみならず全世界に衝撃を轟かせたのだから。柏レイソル在籍時からつぶさに大津の成長を見てきた筆者としては、「やはり持っている男は違う」という印象を受けずにはいられなかった。 茨城県水戸市出身の大津は、小学校4年のときに地元のサッカークラブ・新荘常磐SSSでサッカーを始めた。その後、鹿島アントラーズノルテジュニアユースと並行してマルバ・フットサルスクール水戸に通い、小柄できゃしゃだった大津は、自分よりも体格に勝る選手を上回るため、フットサルのトリッキーなプレーを自身のプレースタイルに取り入れ、足元の技術を磨