「クリスマスか……」 仕事納めの後せめてもの思い出にとマイケル・ベイのクソコラを作った私は、すきっ腹を抱え一人外に出た。こんな夜は、あの店に行くしかない。 「大将、やってる?」 「どうぞ、いつものお席開いてますよ」 「いやあ、今年はやたらと忙しくてさ。大将の顔見るのも久しぶりだね。さっき仕事納めはしてきたんだけど」 「お疲れ様です。じゃあ本日はコースなんていかがでしょうか」 「コース? この店、そんなのあるの」 「ええ、今年のお勧めを十品お任せでってものなんですが」 「じゃあそれにしようかな」 「はい、コース一丁。ありがとうございます」 恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム 「まずはこちらどうぞ」 「へえ、インド映画」 「最近じゃ『マサラ・ムービー』って言うらしいんですがね」 「……うん、辛い。辛いけど甘い。あと濃い」 「あちらさんは大体濃い味なんですが、これは特に濃いんですよ」 「おっ