北海道大の吉沢和徳准教授(昆虫形態学)らの研究チームは、メスがオスの体に交尾器を挿入して交尾する昆虫を、ブラジルの洞窟で発見したと、米学術誌「カレント・バイオロジー」で発表した。 体内受精する生物のほとんどは、オスがメスの体に交尾器を挿入する。研究チームは、性的な役割が逆転した昆虫が見つかったのは世界初としている。 見つかったのは、シラミに近いチャタテムシの仲間で体長約3ミリ。メスは伸縮する出っ張った交尾器を持ち、オスにはメスの交尾器が入る穴があった。 平安時代の宮中を舞台に姉弟が性別を入れ替えて暮らす様を書いた「とりかへばや物語」から、研究チームはこの昆虫をトリカヘチャタテと名付けた。 発見の意義について、吉沢准教授は「性の違いがなぜ生じたのか、進化的な背景を探る重要な手がかりになる」と話している。