所得減税や給付金支給を打ち出す一方で、「異次元の少子化対策」では社会保険料に上乗せして徴収するとしており、矛盾するのではないかと批判を浴びている。それに対して、岸田首相は「実質的な国民負担の増加にならないよう」にするので、「今回の所得税減税と矛盾するものではありません」と国会で繰り返し答弁している。その「実質的な国民負担」の尺度として持ち出したのが「国民負担率」なのだ。 国民負担率は、税金と社会保険料の合計を、国民所得で割って算出する。毎年2月に財務省が数値を公表している。かつては国民負担率の上限を示すことで財政の効率性を掲げる内閣があった。例えば小泉純一郎内閣がまとめた2004年の「骨太の方針」では、「政府は、簡素で効率的であらねばならない」とした上で、「例えば潜在的国民負担率で見て、その目途を50%程度としつつ、政府の規模の上昇を抑制する」とある。 元日本経済新聞論説委員の内田茂男氏に