滋賀県大津市で中学2年生の男子生徒がいじめを苦に自殺をした事件は、連日多くのニュース番組で報道されている。生徒を守るはずの存在である教育委員会や学校側の不手際、「いじめ」という言葉ではくくれないほど凄惨な事件の内容は、社会に衝撃をもたらしている。 大津市の事件では生徒へのアンケートなどから「葬式ごっこ」といういじめが発覚したが、これは、1986年に起こったいじめ自殺事件「中野富士見中学校いじめ自殺事件」でも行われていた手口であった。そして、この中野富士見中学の事件を、繊細な手つきで分析したのが、日本を代表する劇作家である別役実だ。 野田秀樹、鴻上尚史、松尾スズキら後発の劇作家たちに対して多大な影響を与えた別役実。ネットユーザーならば、デイリーポータルZなどでも執筆するイラストレーターのべつやくれいの父といえばピンとくるだろうか。彼が中野富士見中学の事件を手がかりに、日本の社会構造を分析した