科学へ導いてくれたのは、お父さんだった。 「知識を子どもに自慢したかったのでしょう。日食や月食が毎月起こらない理由、電車のドアやモーターの仕組みなどを話してくれた。どこで仕入れたんだろうね。新聞を丹念に読んでたけど、本を買ったりはしていない」 「天才を育てる教育」があるのでしょうか。 「教育で天才ができるわけがない。学校の成績が優秀でなくとも、天才は出てくる。ある学問が本当に好きだったら、本を読んだり聞きかじったりするだけで、スタートラインには立てる」 天才の典型としてあげるのが米国の物理学者ファインマン博士。名著「ご冗談でしょう、ファインマンさん」で知られる博士と益川さんは、本音で語るところが共通します。 「比較なんかしないで。会ったこともないけど、論文を読めば常人でないことはわかる。なぜこんな珍奇な事ひらめいて結果を出すんだろうと。ノーベル賞受賞者の中でもけた違いのユニークさ。さらに上
2010年度から学生募集を停止する聖トマス大(兵庫県尼崎市)は31日、「日本グリーフケア研究所」の運営を同年4月から上智大(東京都千代田区)に移管すると発表した。研究所は移転せず、研究や講座もそのまま継続する。 同研究所は、肉親を亡くした人らの深い悲しみに寄り添う「グリーフ(悲嘆)ケア」の国内初の専門研究機関として今年4月に開設。ケアに携わる人材養成のほか公開講座も開いている。移管は、聖トマス大から、同じキリスト教系の上智大に申し入れていた。
関西文化学術研究都市の独立行政法人「情報通信研究機構」けいはんな研究所(京都府精華町)は、インターネットに接続した携帯型端末を通じ、別の言葉に自動で音声翻訳する多言語間システムの開発に成功し、29日発表した。日本語のほか、英語、中国語、タイ語、朝鮮語、インドネシア語など9言語が対象で、旅行の際などに使う日常会話の翻訳が可能になる。携帯電話での利用や、対象言語の拡大に向けた研究を進め、3〜5年後の実用化を目指す。 同機構が、アジア各国の研究機関と共同で、音声認識や機械翻訳、音声合成のソフトを開発。各機関のサーバーにネットで接続した端末に向かって言葉を話すと、別の端末に、翻訳された言葉が機械音声で流れ、文字でも表示される。 研究代表者の中村哲・同機構上席研究員は「世界には約6000の言語があるそうだが、このシステムなら、すべての言語間の会話が可能になるかも知れない」と話した。
東京農工大から寄贈された織機(手前)など廃棄処分が決まった産業資料(12日、大阪府吹田市の万博記念公園で)=金沢修撮影 万博記念公園(大阪府吹田市)に建設構想があった「国立産業技術史博物館」用に、大阪府などで作る協議会が収集した発電所のタービンなど、江戸時代以降の産業資料2万数千点が、一度も公開されないまま、廃棄処分されることがわかった。構想はバブル経済崩壊後に頓挫し、公園内の旧万博パビリオン・鉄鋼館に保管されていたが、16日にも処理業者による搬出作業が始まる。専門家らは「日本のものづくりの歴史を語る貴重な資料。保存すべきだ」と批判している。 府、大阪市、大阪商工会議所、日本産業技術史学会で作る同博物館誘致促進協議会が6日、廃棄処分を決定した。協議会は1986年に設立されたが97年以降は、休眠状態になっており今月末で解散する。 資料は、関西電力や東京農工大など約30の企業や大学、個人から寄
「小中学校時代に、周囲が『お前はできるんだ』という暗示をかけてやることは大事ですよね」と語る益川さん=菊政哲也撮影 英語ダメでも周囲温かく 高校に入って間もなく、名古屋大の坂田昌一先生が素粒子論の「坂田モデル」を発表されたんです。19世紀にヨーロッパで完成されたと考えていた科学の“ナウい”話が、近くで今作られているからには、絶対研究室に交ぜてもらおう、と思いまして。 でも、大学に行くか砂糖屋を継ぐかは、真剣な問題でした。当時、マージンを乗っけて物を売り、もうけるってことに罪悪感を感じていたので、「継げ」一点張りのおやじには反発しましたね。おふくろは、本当はサラリーマンの妻になりたかった人で、大学を勧めてくれました。結局、おやじに一度だけ受験していい、と言われ、3年の時は猛勉強した、と言えますね。 その入試の点数ですが、数学と理科はそこそこ計画通りでしたが、英語は200点満点で、限りなく0に
大阪府吹田市の万博記念公園にある「太陽の塔」が、19日行われた映画「20世紀少年―第2章―最後の希望」(31日公開)のPRイベントで、劇中に現れる「ともだちの塔」に“変身”した。 映画は、大阪万博が開かれた1970年に子ども時代を過ごした仲間たちが、謎の救世主「ともだち」と戦う3部作の冒険物語。「ともだちの塔」は今作で、救世主が21世紀に万博の開催を計画、建造するパビリオンとして登場する。 映画ではコンピューターグラフィックス(CG)で映し出したが、イベントでは配給会社の東宝が、作者の岡本太郎さんの遺族から許可を得て、8000万円かけ、1日限りで太陽の塔を改造。胴体部分の顔に直径11.5メートルのバルーンをかぶせ、高さ65メートルの頂上部に強化プラスチック製の目玉のマークを飾りつけた。午後5時40分、塔がライトアップされ、75発の花火が打ち上げられると、豊川悦司さんら出演者と一般参加者約1
滋賀県立琵琶湖博物館は16日、琵琶湖の湖底から二枚貝のように2枚の殻に包まれた甲殻類「カイミジンコ」の新種11種(体長0・5~1・4ミリ)を発見したと発表した。いずれも琵琶湖の固有種の可能性があるという。 同館の研究グループが1997~2007年、97か所の湖底の堆積物から採集したカイミジンコのうち、「カンドナ科」に対象を限って電子顕微鏡で観察した結果、殻や生殖器の形が異なる11種が見つかった。 このうち、北湖の水深66メートル以上の湖底でのみ確認された1種については、採集に協力した県琵琶湖環境科学研究センターの西野麻知子・総合解析部門長にちなみ、「ニシノマメガタカンドナ」と命名。調査の成果は今月、イギリスの学術雑誌に掲載された。
人が目で見ている文字や図形を脳から読み出し、画像化することに国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町)神経情報学研究室の神谷之康室長、宮脇陽一研究員らのグループが世界で初めて成功した。 将来は睡眠中の夢や、脳内で思い描いたイメージも画像化できる可能性があるとしている。11日発行の米科学誌「ニューロン」に掲載される。 人が目で見たものは、網膜で電気信号に変換され、後頭部にある大脳視覚野で処理される。 今回の研究では、100コマ(10×10)の画面上に、暗部と点滅部をモザイク状に配した画像を440種類作成。それぞれを被験者2人に見てもらい、視覚野での脳活動(血流の変化)を機能的磁気共鳴画像(fMRI)で測定し、コンピューターで解析して認識パターンを作成した。 その後、暗部と点滅部で構成された「□」「×」など5種類の図形と、「neuron」のアルファベットを一つずつ見てもらいながら、同様
大阪府が、教育問題をテーマに橋下徹知事と親子や教師らが語り合う集会の参加者を募ったところ、教師の応募がわずか3人にとどまっている。歯に衣(きぬ)着せぬ発言で教育分野に切り込む知事に対し、「何を言っても無駄」とあきらめ気味の教師もおり、活発な議論を期待していた府は肩すかしを食わされた格好だ。 知事との対話集会は4回目。9月の「若手企業家と語る!」は定員の6・1倍が応募するなど人気が高かった。今回は「教育日本一を目指せ!」をテーマに11月8日に府公館で開き、知事自身も「子どもと保護者、先生でバトルをやる。先生にも文句を言ってもらう」とPRしていた。ところが、保護者10人、小学5・6年生5人、教師5人の募集定員に対し、保護者の応募は34人、児童も20人(24日現在)あるが、教師は定員に満たず、わずか3人だけ。26日の締め切りを控え、府は市町村教委を通じ参加を呼びかけたが、反応はないという。 「橋
全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の市町村別成績の公表を求めている大阪府の橋下徹知事は7日、公表しない府内の市町村教委に対し、府教委が独自に実施している35人学級の事業費を来年度予算でゼロにする考えを示した。府教委は近く市町村教委に自主公表を要請するが、橋下知事は教育予算を“人質”に市町村教委に圧力をかけた格好で、識者らから疑問視する声も出ている。 同府箕面市でイベントに出席した後、報道陣に「(市町村別成績を)公表しないのは市町村教委の自由だが、その代わり、府が35人学級の予算を出す必要はない」と語った。 35人学級はきめ細かな指導を目的に、府内の全公立小1、2年生を対象にして2004年度から実施。府教委が国基準よりも教員約370人を上乗せし、配置している。事業費は主に人件費で、年約30億円。 また、東京都杉並区立和田中の前校長で府特別顧問の藤原和博さんと協力し、来年度から携帯型ゲー
「日本画」研究から転身2年…京都府立医大・森さん 性別によって大きさの異なる脳内の新しい神経核を京都府立医大の大学院生、森浩子さん(26)=写真=(博士課程、解剖学専攻)がラットで発見し、米国科学アカデミー紀要電子版に発表した。構造に性差のある神経核の発見は30年ぶり。性に特有の行動や機能にかかわっている可能性が高いという。 新しい神経核は、本能などの中枢にあたる視床下部という領域にあり、「矢状核」と名づけられた。オスではメスに比べ、1・7倍も大きく、神経細胞の数も約1・3倍あるのが特徴。女性ホルモンの受容体を持ち、成熟したメスでは月経周期に伴って受容体が増減していた。また、メスのラットでも、新生児期に男性ホルモンを投与すると、オス型の矢状核になった。 人間の場合も、性別の自意識や性的指向は、胎児期に形成される脳の性差で決まるとされている。 森さんはもともと京都市立芸術大で日本画を学び、修
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