山下晴代『Pale Fire(青白い炎)』( Editions Hechima 、2017年11月11日発行) 山下晴代『Pale Fire(青白い炎)』には複数の種類の詩がある。「遠州シリーズ」というのだろうか、幼年期の記憶を書いたものがおもしろい。 暑くもなく寒くもなく、虫の音もとだえ、宇宙と遠州の家が一体化するとき、祖母や祖父が土のなかかからよみがえり、私が山下家の一族のひとりであることを教える。どうしてそういうことになったのか、もはや誰も、従姉の恩師の女教師も教えてくれないのであった。その恩師は、従姉が連れていってくれた彼女の家の縁側で、木のパレットの固まった絵の具をナイフでそぎ落しながら、街の高校へ行った従姉に、学校の科目のなかでは何がすき? と聞くと、従姉は、「かんぶん」と答えるのであったが、その「ん」の音が、私には「m」として耳に残り、はたしてそれがなんなのかわからないのであ
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